「生きる」とは
すなわち「歳をとる」こと
歳をとる、老いるというと
若いころを絶頂として
そこから坂道を転がるように衰え
様々なものを失っていく―
そんなイメージがつきまとう
しかし、歳を重ね、経験を積んでこそ、
物事を深く理解し味わえるもの
「今、ここ」を精一杯生き
老いを愉しむ最上の幸福論を説く
◆新しいことを学ぶ
これまでの蓄積をリセットすることなく
若いころに戻ることができ
若さを「疑似体験」できる
これは誰にでもできる
必要なのは、特別な才能や適性ではなく
ほんの少しの「チャレンジ精神」
◆他者の役に立っているという「貢献感」は幸せの礎、生きる力
現に今「生きている」ということは
まだこの世界に自分のすべきことが残されている
なお自分にできることは無いだろうかと考えてみる
⇒幸せを実感できる
◆人生はマラソンではない
たとえどこかに到達しなかったとしても
そのプロセスの一瞬一瞬が完全であり完成されたものでもある
⇒この場合、時間や人生の長さは問題にならない
◆あの世とは、よかとこらしいじゃないか
行ったきり、ひとりも帰ってきたもんはおらん
◆相手を変えるのではなく、自分が変わる
⇒一言で言うなら「大人になる」
大人であるための三つの要件
①自分の価値を自分で認められる
②自分が決めなければならないことを、自分で決められる
③自己中心性からの脱却
◆今の親子関係にかけているのは「ありがとう」という言葉
◆繰り返し語られる話は、親にとって重要なこと
⇒初めて聞くつもりで、面白そうな話だと思って聞いてみる
◆すべての悩みは対人関係の悩み
⇒他者とのつながりなくしては「人間」の生をまっとうできない
◆自分に価値があると思うときにだけ勇気を持てる
⇒課題に取り組む勇気と対人関係に入る勇気
◆争いごとの根底にあるのは、自分ファーストの考え方
⇒本来の人生の意味は、貢献、他者への関心、協力
◆哲学は五十歳から
いかに歳を重ね、研鑽を重ねても、
わからないことはまだまだある
自分と真摯に向き合い続けること考え続けることが
「哲学する」ということ
【題 名:老いる勇気】
【著 者:岸見 一郎】
【出版社:PHP文庫】