人は、自分の「言葉」を獲得することで、
初めて自分の人生を生きられる――
見城徹はいかにして道を切り拓いてきたのか?
正確な言葉がなければ、
深い思考はできない
深い思考がなければ、人生は動かない
読書をして自己検証する
自己否定する
自己嫌悪との葛藤の末に自分の言葉を獲得する
出版界の革命児が突き付ける、
究極の読書論
◆自己検証・自己嫌悪・自己否定は三種の神器
人は表現するときに言葉を選び取る
この作業は苦しく、否応なしに自分を否定し
自分の未熟さを見つめなおすことを余儀なくする
⇒この三つを繰り返した先にしか、人の成長は無い
◆苦しいほうに身をよじり、自己検証能力を磨く
何かを得るためには、必ず何かを失う
代償を払わずして何かを得ることは不可能
◆ヘミングウェイ「勝者には何もやるな」
他のあらゆる争いや戦いと違って、前提条件となるのは、
勝者に何ものを与えぬこと----
その者に、くつろぎもよろこびも、
また栄光の思いも与えず、
さらに、断然たる勝利を収めた場合も、
勝者の内心にいかなる報償をも存在せしめないこと
----である
◆編集者の武器は「言葉」だけ
人と会うときは、常に刺激的で新しい発見のある話、
相手が思わず引き込まれるような話をしなければいけない
◆共感できる美意識を見つける
見栄や利害損得で行動する人は
大きなことを達成できない
たとえ、その瞬間、自分が損をすることになっても、
やせ我慢して貫く美学を持っていれば
それが魅力として外にあふれ出し人がついてくる
◆山田詠美「ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー」
ひとりの男を愛すると三十枚の短編小説が書ける
小説が書きたいから恋をするのか
恋をするから小説が書けるのか・・・
いずれにせよ、色恋沙汰は
人間が人間であるために不可欠の要素である
◆旅とは「貨幣と言葉が通用しない場所に行くこと」
この広い世の中で、ほとんどの人は、
旅している自分のことなど気にかけていない
という厳然たる事実を目の当たりにした
世間に出るということは、すなわち
自分を知らない他者のなかで戦うことを意味する
◆アニー・エルノー「シンプルな情熱」
昨年の九月以降、私はある男性を待つこと----
彼が電話をかけてくる、そして家へ訪ねてくるのを待つこと以外、
何ひとつしなくなった
私には思えた
ものを書く行為は、まさにこれ
性行為のシーンから受けるこの感じ
この不安とこの驚愕、
つまり、道徳的判断が一時的に宙吊りになるような
ひとつの状態へ向かうべきなのだろうと
◆お前は今日一日を、最大限生きたのか?
平和な日々よりも、悲痛な日々の方が生きている実感を味わえる
ことごとく自分が願うものを成し遂げた上で、
それでも全部を果たしきれずに、絶望しきって死にたい
◆「成功」かどうかは自分の死の瞬間に自分で決めるもの
「成功」という言葉はそれほどまでに重いもの
「成功」という言葉を使えるだけ考え抜いているか
そのことを自分に問い直し、もし考え抜いていないなら
読書を通じて、思考するべき言葉を手に入れること
【題 名:読書という荒野】
【著 者:見城 徹】
【出版社:幻冬舎文庫】